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清浄度と速度は両立できるか 半導体工場の高密度化が求める搬送ロボットの新しい条件

清浄度と速度は両立できるか 半導体工場の高密度化が求める搬送ロボットの新しい条件のイメージ

ニュースの概要

ブルックス・オートメーションが、半導体工場向けの新型ロボット「Preciseflex c10 CR」を公開した。既存の搬送ロボットにクリーンルーム対応の機能を加えた製品で、定格の速度で動かしてもISOクラス4の清浄度を保ち、必要に応じてクラス3にも対応できるという。用途は、SMIFポッドやレティクルポッドと呼ばれる専用容器を、保管システムと製造装置の間で自動的に運ぶ作業である。工場の床面積には限りがあり、装置を詰めて並べる高密度化が進んでいる。狭い場所でも清浄さを落とさず動けるロボットへの需要は、確実に高まっている。今回の発表は、その流れに応えるものだ。

引用元: ブルックス、半導体工場の高密度化に対応するクリーンルームロボットを公開(ET News)

分析・見解

定格速度でクラス4を保つ、という数字の重み

クリーンルームの清浄度は、空気中に浮かぶ微粒子の数で決まる。ISOクラス4は、0.1マイクロメートル級の粒子が1立方メートルあたり1万個以下という厳しい水準だ。ロボットは関節やベルト、ケーブルから微粒子を出しやすい。しかも速く動かすほど、発塵(=ちりの発生)は増える。

そのため従来は、速度を落として清浄度を守る運用が珍しくなかった。定格速度のまま基準を満たすなら、搬送の速さと清浄度の二者択一が崩れる。ここが今回の発表の核心である。

床面積の取り合いが、装置の並べ方を縛っている

最先端の工場では、建設費が数兆円規模に達することもある。床1平方メートルあたりのコストは年々上がり、建屋を広げるより既存の空間に装置を詰めるほうが現実的になった。

装置の間隔が狭まれば、ロボットには小さな旋回半径や、低い天井近くでの動作が求められる。一般の産業用ロボットを転用すると、発塵を抑えるカバーが付いて大型化しがちだった。最初からクリーン対応を前提にした小型機は、この矛盾をやわらげる。

ポッド搬送の自動化は歩留まりに直結する

SMIFポッドはウエハーを、レティクルポッドは回路の原版を入れる密閉容器である。レティクルは1枚が非常に高価で、傷や汚れが歩留まり(=良品の割合)を大きく左右する。人の手で運べば、落下や取り違えの危険がつきまとう。人の出入りそのものが発塵の原因にもなる。

天井の軌道を走る搬送装置は、ダイフクや村田機械などが広く手がけてきた。ただし軌道には敷設の手間と固定費がかかる。床置きの多関節ロボットは、後から配置を変えやすい点で補完関係にある。

見落とされがちな視点:ロボットは気流の一部になる

クリーンルームでは、天井から床へ一方向に流れる空気が微粒子を運び去っている。動くロボットは、その流れを乱す障害物でもある。発塵量が少なくても、置き場所や動線が悪ければ粒子は溜まる。

つまり清浄度の勝負は、ロボット単体の性能だけで決まらない。気流の解析を含めた配置設計との共同作業になる。今後は、工場全体をシミュレーションで検証してから搬送機を選ぶ流れが強まるだろう。

ビジネスへの影響

比べるべきは価格ではなく、面積あたりの生産量

クリーンルーム対応ロボットは、一般品より本体価格が高くなりやすい。だが比べるべきは本体価格ではない。装置を詰めて置けた分だけ増える生産量と、搬送ミスで失う歩留まりの差である。

例えば、同じ床面積に装置を1割多く置けるなら、建屋の増設費を丸ごと避けられる可能性がある。投資の回収年数は、この視点で計算し直す価値がある。

導入前に確かめたい三つの条件

一つ目は、清浄度の保証条件である。定格速度での測定か、実際の動線を再現した測定かで、数字の意味は変わる。二つ目は、既存の保管システムや製造装置とのつなぎやすさだ。通信方式やポッドの受け渡し位置が合わなければ、改造費がかさむ。三つ目は、保守の頻度である。部品の交換のたびに作業を止めれば、清浄度の利点は薄れる。

半導体の装置や部品を扱う中小企業にとっても、これは他人事ではない。大手工場が搬送を自動化すれば、納入品の梱包形態やポッドへの適合が、取引条件に加わる場面が増えるからだ。

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